Susumu Kawashima / Before The Dawn

1. sun shower

2. towards the light

3. rainy day

4. down to earth

5. eternal cycle

6. air pocket

1953年生まれの音楽家、Susumu Kawashimaのフィジカル作品としては記念すべき1st EPが、"CHILLAX（CHILL+RELAX）"をコンセプトに音楽やアートを始め衣食住に纏わるオリジナル・プロダクトを制作する新興ブランド兼レーベル、Music Dept and Media Archivesよりリリースされた。

Susumu Kawashimaは十代の頃よりカウンター・カルチャー/フラワームーヴメントの熱波をリアルタイムで体験し1976年に初渡米。アメリカやメキシコを旅した後、カナダはバンクーバーに滞在し現地のミュージシャンと幾多のセッションを繰り返す生活を送った経験が、その後の彼の音楽家人生の大きな基点の一つとなる。

帰国後、80年代には内田ボブ氏のバンドにギタリストとして加入、ツアーやバンドでの音源制作を経た後、90年代に入るとDTMとギターシンセを用いたソロ楽曲の制作を開始する。またその頃には音源の制作と並行し、長野県を拠点に音楽イベントにてティピーテント（ネイティブ・アメリカンが使用する三角型の野営テント）の設営をする仕事に携わり、EQUINOXを始めとした日本各地のレイヴ・パーティー黎明期のシーンを間近で体験する事となる。

そういった経験や背景から生み出された彼の音楽は、アンビエントやニューエイジ、そしてバレアリックやトランスといった様々なエレメントを横断、越境していく中で醸成されていった燻し銀のチルアウト・サウンドと言える。

2015年より収録曲の制作に取り掛かった本作は『Before the Dawn』というタイトルが示す通り、夜明け前の薄明の瞬間を切り取ったような穏やかな静けさと、浮遊感に満ちたクリアーなシンセ・サウンドが特徴だ。
そして本作には彼自身がオールタイム・フェイバリットとして挙げるチルアウトの草分け的コンピ『Cafe Del Mar』シリーズを彷彿とさせるような美しいダウンテンポからアーシーなブレイクビーツ、ヒプノティックでトランシーなダンス・トラックまで幅広い楽曲を収録している。

ここ数年、日本の新旧アンビエントやニューエイジ音楽が世界的な注目を集めているが、そういった日本の知られざるオブスキュアな音楽を好むリスナーにも是非とも本作を聴いて頂きたい。そして何よりもこの作品が、昨今のコロナ禍が引き起こした閉塞感漂う日常の中で、ひと時の安らぎや安堵、温もりを感じさてくれる極上の"CHILLAX MUSIC"として皆様の耳と心に響くことを切に願う。